シネマトグラフィとは何か

シネマトグラフィとは、カメラで対象を写すことそのものではなく、撮影と照明によって映像を一本の映画へと組み立てていく仕事を指します。同じ被写体、同じ場所であっても、どのレンズを選び、どこから光を当て、どんな色で残すかによって、見る人が受け取るものはまるで変わります。私たち大笑シネマプロは、販促のための動画ではなく、最後まで撮りきる一本の作品を撮ってきました。その作品性を支えているのが、このシネマトグラフィという考え方です。映画作家がカメラの後ろで何を選んでいるのか、ここで少し開いてみたいと思います。

映像を映画にする三つの要素

レンズ ― どこまでを、どう見せるか

レンズの選択は、観客の立ち位置を決める作業です。広い画角は人と環境の関係を、長い画角は人物の表情とその内側を浮かび上がらせます。どこにピントを置き、背景をどれだけ溶かすか。その一つひとつが「この場面で何を見てほしいか」という意思表示になります。私たちは森や木々、植物といった自然のミゾンセン(画面の中の配置)を好みますが、それも被写体を引き立てるレンズと構図があってはじめて、ただの背景ではなく物語の一部になります。

光 ― 時間と感情をつくる

照明は明るさを足す作業ではありません。光は時間をつくり、感情をつくります。朝の斜めの光と、夕暮れの落ちていく光とでは、同じ顔がまったく違う物語を語り始めます。影をどこに残すか、どこを消すか。シネマトグラフィにおいて照明とは、見えないものを設計することでもあります。脚本・演出・撮影・編集・音までを作家が一貫してコントロールするとき、この光の設計は最初の脚本段階からすでに始まっています。

色 ― 作品の体温

色は作品の体温です。撮影で取り込んだ色を、編集と仕上げでどう整えるか。冷たく沈ませるのか、わずかに暖かさを残すのか。色の判断は、その一本が観客の記憶にどんな温度で残るかを左右します。レンズと光と色、この三つが噛み合ったとき、映像はようやく「映画」と呼べるものになります。

海外制作会社の現場で磨いたシネマトグラフィ

作家としての作品づくりと並行して、私たちは撮影照明(シネマトグラフィ)を専門として海外の制作会社に請け負ってきました。英国の Acumen Media や TBD Media Group のプロジェクトでは、Yanmar、IOWN The Future Internet、ASICS、TSMC(JASM)といった題材で、撮影・照明・音声・現地プロデュースを担当しています。海外メディアが求める画づくりの基準は高く、限られた時間のなかで光を組み、土地の空気をフレームに収めなければなりません。こうした現場で鍛えられた画づくりの感覚が、自分たちの物語映画やドキュメンタリーにそのまま流れ込んでいます。撮影と照明を一本の作品のために尽くす――それが私たちの考えるシネマトグラフィです。

一本の作品として撮るために

映像を映画にするのは、機材の性能でも編集の派手さでもありません。レンズで何を選び、光で何を語り、色で何を残すか。その一貫した判断こそがシネマトグラフィであり、作品の背骨になります。一本の映画を、最後まで撮りきる。その覚悟をもって、私たちはこれからもカメラの後ろに立ち続けます。

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